代表ごあいさつ

代表取締役社長 桑原 強

2021年10月より、新しい時代の匠工芸を担うことになりました。先代が積み重ねてきた、「お客様に喜んでいただけるものづくり」を継承しながら、変化し続ける時代や暮らしのスタイルにどう応えていくのかを、自分なりに求めて行くつもりです。

匠工芸は、「つくっているのは、心地です。」というスローガンを掲げ、椅子やテーブルをつくることで、その向こうにある使い手の幸せを生み出しているのだという意識を大切に、日々ものづくりに取り組んでいます。これからも、国内外のデザイナーとの協働により、新しい視点や思考に刺激を受けることで、技術と技能、発想、感性を磨いていきます。また、2021年夏、横浜に直営店をオープンしました。まだ出会っていないお客様に匠工芸の世界観に触れていただき、多くのお客様との交流や発信を通して私たちも成長していきたいと、スタッフ一同意気込んでいます。

私は学生時代から「つくること」に興味があり、高校、大学と機械工学の道を歩みました。その学びと経験を生かして匠工芸に入社し、工場に約10年、そして事務所、営業、企画と経験を積みながら会社全体を見てきました。社長になった今目指しているのは、「ワンチーム」。チームワークは、相手に興味を持って互いをよく知ることから始まります。そこに先代がいつも言う「阿吽の呼吸」が生まれれば、これほど強い会社はありません。切磋琢磨する中でひとりひとりが向上していき、結果としていい製品が生まれ、それがお客様の喜びにつながっていくのが理想です。

大雪山の麓という環境の良さを、実感できる年齢になってきました。東神楽の星空の美しさや、雪原がどこまでも広がる冬の深い静寂をお客様に体験してもらうのも、喜びの広がりの形です。どうぞいつでも匠工芸に来てください。季節ごとの風景と私たちが待っています。

株式会社匠工芸 代表取締役社長 桑原 強

創業者ごあいさつ

代表取締役社会長 桑原 義彦

匠工芸は1979年に特注メーカーとして創業しました。旭川家具の中では後発で、折悪く時代はもの余りの傾向が見え始めた頃。当時旭川で全盛だったタンス製造ではなく、地元ゼネコンと協働で文化施設や歯科医院の造作家具をメインにやっていました。その後開発したプロパー製品の第一号は、家具ではなく木の鞄「KIBAN」で、私とデザイナー、クラフト作家の3人で合作し、400台以上を売るヒットになりました。それ以降つくった家具もすべて「自分たちが使いたいもの」。第二号の「BAN」は、それまでなかった洋風の無垢テーブルです。毛嫌いされるワレを契りでうまく意匠にし、それまで断ち落としていた辺材を生かして無垢感を高めたところ、品質のよさもあって高額ながら人気商品に。その売り上げでまた上質な厚い材を仕入れ、工場を回していきました。制約がなく、自由に仕事ができた時代でした。

40年経って時代は変わり、使い手のニーズは本当に多様化しています。現在は外部デザイナーの視点でそのニーズを捉え、柔軟な感覚で匠らしい製品を開発するようになりました。匠らしさとは、無垢材のあたたかさや美しさを独自の加工技術で表現したものづくり。それがお客様の心からの満足感に繋がると信じています。また、こうした中でも全体の3割は物件ものの仕事を受注しています。つねにオーナーへの対応を頭に置いて仕事をすることが、工場全体を質的に向上させると考えるからです。

2021年10月に匠工芸は代替わりし、二代目社長が就任しました。これからも市場に敏感に対応しながら、匠のものづくりのさらなる可能性を模索していくものと期待しています。難しいつくり方でも厭わず、それをデザインに生かして、人が使いたくなるものを追求していくのが匠工芸の伝統です。旭川は家具産地としての長い歴史の中で、多くのブレーンと知的な関係を培ってきました。そうした人たちの力を借りて、得意分野を分担し合ってチームワークで開発していけばいい。それが「心地いいものづくり」としてお客様に伝わっていくことを願っています。

株式会社匠工芸 代表取締役会長 桑原 義彦

ワーキングスツール

創業5年の頃に発表したワーキングスツール。以降リデザインを重ねて、木座ながらやさしい掛け心地を実現した「匠らしい」アイテム。